これまでの乳癌検診は経験もばらばらな医師による視・触診のみでした。これでは1000人に1人の発見率しかなく、一方では検診から、ほどなく自己検診で乳癌を発見するひとが現れる始末。すなわち見落としです。
ですから、このような検診で乳癌死が減少するわけがないのです。欧米では患者数こそ増え続けていますが、約20年も前からマンモグラフィーを検診に導入し、乳癌死亡率の減少を認めています。マンモグラフィーや超音波検査併用の検診が見落としを減らし、さらには手に触れるようになる前の真の早期癌を発見するチャンスを与えてくれたのです。ここに検査を併用する検診の意義があります。
個人的な見解として、視・触診のみの市町村の検診は受けても意味がないと言えると確信しています。しかし、自覚症状のない方の月1回の自己検診は価値があることもお忘れなく。



 マンモグラフィー(右図)はレントゲンフィルムの板と圧迫板の間に乳房をソフトにはさみ、ごくわずかな放射線で乳腺を撮影する装置です。まだ乳管内に留まっている、転移の危険性のない非触知乳癌を発見する手段の一番手です。乳房の脂肪化が進む50代以上の女性に対し、乳癌診療ガイドラインでもグレードA、すなわち強く推奨すると太鼓判を押しています。40代の女性もグレードB、推奨できると判断しています。
 より若い女性には超音波検査をお勧めしますが、一度はベースラインとなるマンモグラフィーを撮りましょう。乳房をはさまれて痛いのでは?と何の根拠もない先入観をお持ちの方が多いのですが、乳癌発見の遅れはもっと痛い!のです。
 超音波検査は全く無害でリアルタイムに行えます。サイズや形状の詳細な記録が可能で経過観察時にも威力を発揮します。また、手に触れない、超音波でしか捕らえられないしこりの一部を採取(生検)し、確定診断を得ることも可能です。
さらに、当クリニックにはマンモグラフィーでのみ微細石灰化として確認できる、超早期乳癌の位置を特定できる特殊な装置も備えています。



 マンモグラフィーや超音波検査は豊富な情報を与えてくれますが、乳癌であると診断しても確定診断とは言えません。これが画像診断の限界・制約です。例外なく確定診断を求められるのが乳腺疾患の診療です。そこで生検という、しこりの極一部を採取する責務が生まれます。その手段は幾種かありますが、現在、標準的とされるのは外来で可能な針生検です。しこりの直上の皮膚に局所麻酔を行い、使い捨ての特殊な針で採取します。10分前後で終わりますので入院は必要ないですし、4〜7日前後で結果が判明します。

乳腺診療においてマンモグラフィ−と超音波検査‘エコ−’は必要不可欠な画像診断装置です。当クリニックは最新鋭の機種を大変な借金をして導入しております。その甲斐あって、開業してまだ半年余ですが多くの乳癌患者さんを発見・加療させていただき、さらにその何倍もの検査件数を誇っています。その中で、ひときわ異彩を放っているのが‘カラ−・ドプラ−超音波’です。この装置は血液の流れを赤や青のカラ−で描出し、血流の有無を判定することが可能です。赤色は表面に、青色は深部に向かう血流を表しています。通常の超音波検査で腫瘤の存在の有無を判定することは可能ですがその質的診断、すなわち良性・悪性の鑑別などは困難なことがあります。そんな時に威力を発揮するのがわれらのカラ−・ドプラ−です。正常な乳腺内には血流はほとんど認められません。よって、腫瘤内に血流が確認されれば悪性である可能性が数段高まりますし、まったく血流がなければ一安心というわけです。もちろん、確定は組織の一部を採取する病理診断で行いますが針を刺すという侵襲的な検査(生検)になりますので、その生検に踏み切るかどうか迷う時にもカラ−・ドプラ−の結果は頼りになります。診断を得る過程で最も大切なことは、患者様への苦痛を最小限とし最大限の情報を集めることに尽きます。そのためにカラ−・ドプラ−超音波は日々、大活躍中です。

多発乳癌の患者様のカラ−・ドプラ−超音波像です。激しい、様々な血流が見えますね。
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 むらたクリニックへ来院していただいた患者様に対してはもちろん、このホームページでも“検査を行う検診”の意義を地道に啓発し続けることこそが当クリニックの使命だと確信しています。その信念の基に開業して早いもので約一年になり、新規来院患者様も一千名を突破いたしました。これも一重に皆様方のご支援のおかげだと心から感謝いたしております。と同時に多くの患者様を診させていただいて、乳癌検診における年1回のマンモグラフィーおよび超音波検査の意義を啓発することの重要性を痛感させていただいております。そこで、今回はその実例の一端をご紹介いたします。

 患者様は50代の女性で町の超音波乳癌検診を受けられました。まったく自覚症状はあられなかったのですが、右乳房に小さな腫瘤を指摘されて来院されました。超音波を当ててみますと、8ミリのしこりがくっきりと描出されました。比較的丸くて、第一印象は良性腫瘍または濃縮嚢胞?指先にはかすかに触れるか触れないかという程度。経過観察も頭をよぎりましたが、念のため、直上の皮膚に麻酔をして針生検を行いました。病理報告を見てビックリ!見事な乳癌でした。これこそ真の早期発見です。触診だけの検診ではまちがいなく見落とされていたことでしょうし、その女性の運命は……怖いですね!

 これまでの診療経験から当クリニックの主張は正しいことが再認識できましたし、より一層の啓発活動に努めることをスタッフ一同で改めて確認し合いました。そして、患者様に教えていただいた知識・経験はきちんと整理して、患者様に還元いたす所存です。これからもよろしくお願いします。

これが8ミリのしこりです!   これが乳癌細胞の顕微鏡像です!
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乳癌手術症例数、術後補助化学療法の件数、乳腺科の種々の検査件数など全てが年々増加しています。

 
手術数
温存
手術
マンモグラフィー検査
乳腺超音波検査
平成15年
9〜12月
4
3
41
61
平成16年
1〜3月
2
2
38
71
4〜6月
6
4
64
94
7〜9月
5
5
90
162
10〜12月
6
5
128
221
年小計
19
16
320
548
平成17年
1〜3月
4
4
76
133
4〜6月
7
6
154
225
7〜9月
10
10
194
276
10〜12月
0
0
183
278
年小計
21
20
607
912
平成18年
1〜3月
6
5
102
199
4〜6月
8
7
213
264
7〜9月
9
8
318
378
10〜12月
9
7
321
364
年小計
32
27
954
1205
 
3年間総計  
76
66
1922
2726
乳房温存手術が全手術の86.8%を占めています

術後補助化学療法
CE 6サイクル
9
CE-T 8サイクル
12
CEF−T 8サイクル
3
CMF
10
経口5−FU
4
(重複あり)

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