乳癌診療ガイドラインってなに? New
昨今、多くの疾病の診療に“科学的根拠に基づく”ガイドラインが整備されつつあります。科学的根拠とは信頼できる臨床試験から得られた統計学的に有意な結果のことです。医師の経験に基づく診療も大切ですが、その中には慣習的なものも多く、万人は認めない判断基準がまかり通っているのも事実です。
このような状況では医療の標準化の障害になると同じに不利益を被る患者様の存在が危惧されます。しかし、ガイドラインに記されている推奨事項に従う、または参考にすれば、日本全国どこででもみなが認める、適切な医療水準の診療を受けることができるのです。
大都市では高水準、田舎では低水準?の医療なんてことには決してなりません。これらのガイドラインを熟知している医師のもとでは、どこででも同じ水準の適切な診療が提供されることになりますし、患者様も安心して、治療法の決定や現在の加療の継続を行うことができます。乳癌の患者様はもちろんのこと、他の疾患の診療を受けておられる患者様も、主治医の先生に自分が病んでいる疾患のガイドラインが整備されているか?一度、尋ねてみられてはいかがでしょうか。ガイドラインの存在を知らない、または参照しないとする医師は現代医学の水準からオイテケボリをくらっていることになります。
さて、乳癌に関連するガイドラインは昨年、日本乳癌学会から@薬物療法が出版されました。そして今回、2)外科療法、3)放射線療法、4)検診・診断、5)疫学・予防の4冊が追加発刊され、乳癌診療の柱の整備がほぼ完了しました。よって、当クリニックでもいち早く全冊完備・熟読し、早速!日常の乳癌診療に活用しています。セカンド・オピニオンも含めて、安心して御来院くださ〜い。
授乳中に乳腺炎になりました。どうしたらいいの?
むらたクリニックは乳癌や乳腺のしこりの患者様以外にも様々な女性に受診していただいています。授乳中に乳腺炎を起こしたおかあさんも多く受診されます。突発する悪寒・戦慄を伴う高熱(39〜40℃)、強い乳房痛、真っ赤に腫れた乳房などを主訴に。これらの症状の程度は様々ですが、授乳中に痛みを感じられたら早目の受診をお勧めします。診断は経過や症状から比較的容易に判断できます。ポイントは乳房の中に脂肪や乳腺組織が壊れて溶けた“膿瘍のようなもの”がないか?です。その有無は超音波検査ですぐにわかります。もし膿瘍のような、どろっとした液体のたまりがあるときには局所麻酔をして、やわらかい針で除去したり、きれいな水で洗浄したりしない限り、治癒はまず!ありえません。消炎鎮痛剤や抗生物質はまったく無効です!このようなたまりがなければ、桶谷式乳房マッサージ(八代市内には認定を受けておられる増田美奈子先生がいらっしゃいます。当クリニックを受診される乳腺炎のおかあさんの大半は増田先生からの御紹介です。ますだ母乳育児相談室助産院 TEL:0965-33-8758、 木曜・日曜・祭日はお休みです。)と内服薬(葛根湯・消炎酵素剤)で必ず治ります。授乳中ではない方の乳腺炎も同様に対処しますが、授乳中と異なり抗生物質が効くこともあります(もちろんマッサージは不要です)。お悩みの方は気兼ねなく受診されますようお勧めいたします。
マンモグラフィーを撮影した際の被爆は問題ないの? 
被爆の影響には「ある値以上を浴びると障害が起こる」という確定的影響があります。人間の体の大部分の組織は一年当たり約0.5Gy(Gyはグレイと呼ぶ吸収線量の単位です)までが許容されます。放射線に敏感な生殖腺では、短期間に2.5〜6Gyの被爆で女性が永久不妊になります。他に、水晶体の混濁は2〜10Gy、子宮内胎児は0.1Gyで影響を受けます。さてマンモグラフィー検診での吸収線量はいくつかと言いますと、1〜3ミリグレイです。すなわち、0.001〜0.003Gyになります。一年当たりに許容される0.5Gyの数百分の一ぐらいしかないのです。また、主に放射線の危険性は実効線量Sv、シーベルトという単位でも語るのですが、これだと0.05〜0.15ミリシーベルトとなります。我々は地球上に住んでいて、宇宙や大地から自然放射線を浴びているのですが、その量は一年間で約2.4ミリシーベルトですから、マンモグラフィーでの被爆はその数十分の一と極めて微量ということになりますね。その一方でマンモグラフィー検診の恩恵は計り知れないのですから安心して検診をお受けくださ〜い!
線維腺腫と言われました。切除しなければいけないの?
線維腺腫は二十歳前後から四十歳ぐらいにかけて見られる良性腫瘍で、乳腺外来では頻度が高い疾患のひとつです。正確には腫瘍ではなく過形成であり、病変の起源が複数の細胞からなっていて、腫瘍のように起源となる細胞が1つではありません。それを裏付けるように2〜3cmの大きさで成長が止まり、徐々に自然退縮することが知られています。現に四十代後半ではほとんど見かけません。しかし、時には著しく大きくなることもあり巨大線維腺腫と呼ばれます。また、超音波検査などで似たような所見を呈する‘葉状腫瘍’も巨大化したり、悪性だったりしますので注意を要します。よって、線維腺腫を疑ったときには、まず針生検を行って線維腺腫であることを確定させて3cmまでは経過観察とし、3cmを超えて大きくなるようであれば外来にて局所麻酔で切除する方針としています。マンモトームという吸引を掛けて乳腺組織を太く切り取ることが可能な検査装置を持っておられる施設では小さな傷から線維線腫全体を切り取ったりもしています(この装置はかなり高価ですので、貧乏なむらたクリニックにはありません、残ね〜ん)。
「生きがい」持った女性の乳癌罹患危険度は0.57倍!
約35000人の40〜79歳の女性を7年以上追跡し検討した結果です(約11万人が参加する文部科学省助成の大規模コホート研究JACCの一部)。調査では食生活や運動、妊娠回数などの背景調査のほか、‘生きがい'や張り、ストレスの有無などを聞いています。調査中に同定された乳癌患者は149例でした。「生きがい・張りを持って生活しているか?」の質問に「生きがいがあるとは、はっきり言えない」と答えた女性が乳癌になる危険度を1とすると、「普通」と答えた女性の危険度は0.91、「生きがいがある」は0.60、「非常にある」と答えた方はなんと0.57!でした。人生に肯定的な考え方をする女性ほど乳癌になりにくい傾向が明らかですね。他に、物事の判断が早い女性や生まれ変わってももう一度同じ人生を歩みたいと強く思う女性で危険度が低いという結果も出ています。笑いが免疫力を増すように人生への充実感と言った心理的要因も同じような発癌抑制効果をもたらすのですね。しかし、生きがいがありありの女性もマンモグラフィー検診を受けなければいけないことには変わりありませんから〜!!!
ステージStage=病期ってなに?
いま、テレビで‘5年生存率87%、ステージT'なる怪しげな番組が放映されていますね。
みなさまもご覧でしょうか?種々の癌の大半にTNM分類という癌の進行度=病期を表す手段があります。Tは腫瘍の大きさ、Nはリンパ節転移の状況、Mは遠隔転移の有無を意味します。頻繁にその内容が変わるので便利なようで厄介な?分類です。確かにステージが上がるにつれて、生存率が低下します(乳癌には0期からIV期まであります)。乳癌ではリンパ節転移があったと言うだけでステージIIA以上になるのですが、ここに落とし穴があるのです。図を見ていただくと一目瞭然、乳癌はリンパ節転移の有無だけではなく、その数が非常に重要なのです。数が多いほど生存率が悪化する事実がよくわかりますね。それも日米共通の事実です。しかし、TNM分類では1個も10個も同じステージになってしまいます。現実はまったく異なりますので乳癌ではテレビのようにステージで語るのではなく、リンパ節転移の数がまずは重要なのです(リンパ節転移は有力な予後因子とされています)。しかも、乳癌では5年生存率ではなく10年生存率で表すのが常識です。医学に絡むテレビ番組の大半がまちがいだらけなのはなぜなのでしょうね〜。ちなみに私は医師が主役の番組は一切見ませ〜ん!嘘の多さにうんざりするからです。
乳癌になったらもう子どもは産めないの?の新知見
2003年のCancerという格の高い学会誌に質の良い論文が載っていましたので、ご紹介いたします(Cancer 2003, 98: 1131−1140)。乳癌の診断・治療の後に出産を経験した45歳未満の女性438例を同定し、次に、乳癌の診断後に出産を経験しなかった45歳未満の女性の中から前述の438例と諸条件が一致する対照群2775例を同定して死亡率を比較検討しています。その結果、乳癌診断後10ヶ月またはそれ以降に出産を経験した女性では、対照群に比較して死亡の危険性が46%も低いことがわかりました。また、乳癌診断時に妊娠中であった女性の死亡の危険性は対照群と同じでした。これらの結果から乳癌診断時や診断後の妊娠は生命予後に影響しないと考えてよいと思います。ただ、死亡率の低下のために乳癌の診断・治療後には妊娠した方が良い!という解釈までには至らないと考えます。
お魚を毎日食べると乳癌になりにくい?
そうみたいですよ!お魚を毎日食べる女性は週に2回以下の女性と比べて、乳癌の発生が約40%も少なかったと、今年の9月に日本乳癌学会で発表されました。文部科学省の研究班が約2万5000人を対象に平均7年半も追跡しての結果ですから、かなり信頼できる報告です。青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)などの魚介性脂質は種々の効果が報告されていますが、動物実験では乳癌発生抑制効果があることがすでに示唆されており、今回の大規模試験から裏付けられたことになります。ただ、毎日食べることはなかなか容易なことではないし、未知の弊害が隠れているかもしれませんので、お魚を主としながらも極端に偏らないようにすべき、と注意も呼びかけています。牛や豚などの動物性脂肪の摂取量と乳癌発生率は比例することからも、昔ながらの魚を中心とした食生活が大切であることが再認識できますね(お肉屋さん、すいませ−ん!お魚屋さんの回し者ではありませんから…)。
閉経後女性へのホルモン補充療法は有益?有害?
閉経に伴う女性ホルモン環境の急激かつ顕著な変化は個人差はあるものの様々な体調の変化や疾病を招きます。そこでエストロゲン(E)やプロゲステロン(P)を補うことで諸症状を予防、緩和、改善する目的で行われるのがホルモン補充療法(HRT)です。患者様の中には自覚症状の有意な改善が得られ、喜ばれる方も珍しくありません。ところが2002年にEとPの併用が心血管系疾患、乳癌、脳梗塞の発症率を増加させると報じられ、世界中が騒然となりました。さらにEとPの併用で痴呆発症率が、E単独でも脳梗塞、静脈血栓症、痴呆・認知障害の発症が増加するなどと、HRTの弊害が相次いで発表されました。HRTは有効な治療手段ですが一方では明らかに有害です。医師もどう判断するか、混乱しているのが現況です。今回、最新の発表が注目されていますのでご紹介します(Journal of General Internal Medicine 19: 791‐804, 2004)。この論文では1996〜2003年に発表されたHRTに関わる370件の報告から評価に適切な30件の治験を選択し、約27,000人もの多くの女性を対象として検討されています。総死亡率ではHRT群が未使用群に比べて2%少ないという結果でした。HRT群では心血管系疾患死亡率は10%、がん死亡率は3%、それぞれ増加していました。しかし、その他の死亡率(感染症、腎不全、事故、呼吸不全、肺塞栓、リウマチなど)は33%減少していました。これらの結果からは、ん〜っ?て感じですが、さらにHRTの開始年齢で60歳未満と以上とに分けて解析されています。すると60歳以上からの開始ですと死亡率が悪化していますが、60歳未満での開始では総死亡率32%、がん死亡率31%、その他の死亡率56%も減少していました。今回の報告からはHRTの開始年齢がポイントで、60歳未満での開始によってエストロゲン不足から起こる種々の疾患の予防効果が見込めると考察されています。また、60歳以上の女性にはHRTは禁物!と言って良いと思います。しかし、60歳未満開始は安心して勧められるか否かは、閉経直後の女性を対象とした臨床試験を行って確認する必要性があります。乳癌発症の危険度の高い女性や乳癌術後の患者様には禁忌であることはまちがいありません。
脂肪の摂取量と乳癌は関係あるの?
すなわち、油っぽいものを好む女性は乳癌になりやすいか?という疑問ですが、この関連については肯定する報告と否定する発表が交錯して来ました。 理論的には、体内の脂肪細胞などで乳癌の原因物質であるエストロゲンが合成されることから肯定的に考えてよいと考えます。事実、最近の文献(Br J Cancer 2003, 89:1672−1685)からも、やはり関連あり!でした。これはメタアナリシスMeta-analysisという統計学的に最も信頼度の高い方法での解析結果ですので真実だと思います。全脂肪摂取、飽和脂肪酸の摂取、肉類の摂取の危険性は全てイエス!と判明。油っぽいものを好む女性の乳癌の発癌危険度は約20%増しとのこと。母親や姉妹に乳癌の方がおられれば要注意とされるのは、遺伝すなわち遺伝子レベルでの発癌よりも食生活の類似性に起因する割合が大きいことが推測されます。親子の嗜好が似ていることは時には罪作りなことになります。心当りがあられる女性は必ず、視触診だけでない検査のある乳癌検診を受けましょうね!
センチネルリンパ節(Sentinel node)とは?
日本語に強いて訳せば“見張りリンパ節”となります。乳癌が最初に転移をおこすリンパ節を意味します。このリンパ節はわきや胸骨の傍、または鎖骨の下付近に存在します。
これを手術の際に特殊な色素や放射性同位元素を用いて同定します。センチネルリンパ節として摘出したリンパ節への転移の有無を手術中に判定し、転移があれば通常のリンパ節郭清を行います。転移がなかった場合はこのリンパ節より先には転移は無いと判断し、郭清を省略します。温存手術が主流となった今日、術後の後遺症として最も厄介なのはリンパ節郭清に伴う上肢のむくみやしびれ・痛みです。
さらに、わきのリンパ節郭清の治療的意義が疑問視されている現在、省略する手段を求めることは自然の理ということになります。
術前化学療法(Neoadjuvant Chemotherapy)とは?
乳癌の治療の主軸は手術でなく、術後補助療法であることはこのホームページの主題ですがこの薬剤による治療を術前にやってしまおうというわけです。術後補助療法は検査では見えない、隠れているかもしれない癌細胞を叩こうという大変意義ある治療法ですが、敵が見えないためにその効果の実感は得られません。
しかし、乳房に癌がある状態でお薬を投与すると70%以上の確立でしこりが小さくなり、治療は辛くても効果が実感できます。小さくなった場合、“この患者様にはこのお薬が有効である”ことが解かり、術後にさらに地固め的に追加投与することもできます。また、しこりが縮小すれば大き過ぎて困難と思われた温存手術が可能となったりしますし、リンパ節転移が消えることがあり郭清省略の可能性も生まれます。しかし、この術前治療が効かなかった場合は無意味な時間が過ぎることになってしまいます。
術前化学療法、まだ確立されてはいませんがその意義を高めつつあり、治療の流れが変わり始めています。
飲酒や喫煙と乳癌発生との関連は?
ともに関連は黒!です。毎日30g(ほぼ2杯のウイスキーに相当)以上のアルコールを飲用した場合、非飲酒者に比べて乳癌罹患率が89%増悪することが示されました(Cancer Epidemiology,Biomarkers and Prevention 2003;12:1061−1066)。乳癌の中でも近年増加している小葉癌という型の発癌はなんと!330%の増加率でした。
一方、喫煙の関連ですがこれも従来考えられていたより大きいことがわかりました(Journal of National Cancer Institute 2004;96:29-37)。11万6544例の女性を追跡して乳癌リスクを調べた大がかりな報告です。
(1)20歳以前に喫煙を開始(2)初産以前に5年以上の喫煙歴(3)長期喫煙(4)1日20本以上の喫煙、これらのどれかに該当する方で今、現在も喫煙されている方は30%もリスクが高まりますのでご注意を!飲んで、吸っている女性は危機的に要注意ですね!
乳癌と妊娠経験との関係は?
乳癌の発生に係わる最も主たる原因物質は女性ホルモンの一種であるエストロゲン(卵胞ホルモン)です。近年、未婚者の増加、晩婚化、少子化すなわち妊娠・出産経験が減少しています。
また、初潮が早まり、閉経が遅くなりつつあります。これら、ライフ・スタイルの欧米化のために卵巣から分泌されるエストロゲンにより長くさらされることが今日の乳癌増加の主因と考えられています。欧米女性は8人に1人が乳癌になると言われています。

ちなみに日本人は30〜40人に1人ですが、確実に増加して年間に3万人強の患者さんが発生しています。
好発年齢は?
二つのピークがあります。まず、50歳前後、すなわち閉経直前です。これこそ卵巣から分泌されるエストロゲンによる発癌です。
次が60代です。左右の腎臓の頭側にある副腎からエストロゲンの前駆物質(男性ホルモンの一種)が作られ、全身の脂肪細胞などに存在するアロマターゼという酵素によって、この前駆物質がエストロゲンに変化します。この副腎由来のエストロゲン刺激による発癌が60代に第二のピークを発生させるのです。
ライフスタイルの欧米化はこの二段階のエストロゲン刺激をより高めることになり、閉経後の患者さんを爆発的に増加させることになります。
発生しやすい部位は?
乳房を上下内外に四分割してみると上外四分の一に最も発生しやすいのです。ここが乳腺の量が最も多いからだと考えます。左右の乳房ではどちらという有意な差はありません。
身内に乳癌にかかった人がいて心配です。
血縁者に乳癌罹患者がおられるのなら要注意です。母親または姉妹に乳癌の方がおられれば2〜4倍、母も姉妹もとなると4倍以上の危険性があります。
しかし、その多くは遺伝ではありません。数種の乳癌遺伝子がわかっていますが、遺伝子異常による発癌は全乳癌の5%ぐらいです。
乳房の大きい女性は乳癌になりやすい?
関係ありません。乳房が大きい、小さいの差は解剖学的には脂肪量の違いです。すなわち乳腺の量は大して変わらないのだから乳腺が癌化する乳癌になるリスクは同じです。乳房が大きいとしこりに気付くのが遅れることが問題になるかも・・・
集団検診を受けていれば大丈夫?
英国などの欧米では乳癌発生率は増加していますが、乳癌死亡率はこの20年間、低下しています。
この要因の一つは、検診へのマンモグラフィーの導入だと考えられます。早期、特に手に触れるようになる前の乳癌が発見され、治療されているからです。日本のように触診だけの検診ではこのような効果は望めません。マンモグラフィーや超音波検査を触診と併用した検診を受けるべきです。ただ、月に一回の自己検診は有益とされていますので行ってください。
検査の費用は?痛い?
当クリニックにおいて三割負担で初診料を加算して、初診の方のマンモグラフィー撮影は1,590円。初診で超音波検査の場合は1,860円です。初診でマンモグラフィー+超音波検査ですと2,640円となります。

。マンモグラフィーは乳腺をゆっくりと圧迫しますが、若い方ほど痛みを感じられるようです。またマンモグラフィーがその威力を発揮するのは概して40代からですので、より若い方は超音波検査をお勧めします。しかし、若い方も一度は将来の比較となるベースライン・マンモグラフィーを撮影されることを推奨します。将来、撮影する機会が起こった際に以前と比較することは有益です。
また、マンモグラフィーでないと発見できないタイプの乳癌も少なくありませんから。
乳癌手術での入院期間は?
施設によって違いますが、当院であれば手術前後合わせて7〜10日です。もっと短縮することも可能です。
手術を受けると乳房は無くなるの?
基本的にはまず、乳房温存手術(部分切除)が可能かどうかを検討します。部分切除といっても取り残しは禁物!しかし、しこりが大きいなら残せる乳房はわずかでかなり変形してしまう。これでは温存手術の主な目的である審美性が薄れます。また温存した乳腺から再び乳癌ができるかも。
よって患者様としっかり術前に話し合いを行い、術式を決定します。全国統計では温存手術と全乳腺切除術は半々です。
抗癌剤で髪が抜けてしまう?
術後に化学療法の適応があると判断された方にはその必要性、有用性および副作用が説明されます。同意されると投与が始まりますが、多くの薬剤がありますので副作用も様々です。脱毛は大変大きな問題です。精神的苦痛は計り知れないものがあると思います。しかし、投与終了後には必ず生えてきます。脱毛を嫌い、化学療法を受けなかったがために再発してしまえば、取り返しが付かないことになります。

(参考までに)治療中である証明を提示されると高級カツラが安価で購入できます。
乳癌になったらもう子どもは産めないの?
はっきり言って万人が認めるお答えは存在しません。一般的には術後3年は妊娠しないように、とされているようです。すなわち再発が最も認められやすい期間を過ぎてからということでしょうか。ただ乳癌は10年の観察が必要と言われていますので・・・
しこりに気付いたら産婦人科?
乳腺のしこりや乳癌の診療は日本では外科医が行ってきましたので外科と表示のある病院・診療所を受診して下さい。
しかし、外科といっても乳腺を専門にしている外科医は少ないので事前に設備や医師の存在を確認すべきです。
乳腺科とか乳腺外科という広告や看板はなぜか禁止されています。また、昨今、外科医、腫瘍内科医、放射線科医などがチームを作って乳癌診療に当たるようになりつつあることもお知らせしておきます。
生理前の胸の張り感と乳癌は関係ある?
閉経前の女性の乳房の張り感はホルモン刺激による生理的な感覚ですが、強い痛みを訴えられる方には乳腺症の診断のもとに治療薬を処方します。
ただ乳腺症は前癌病変ではありませんが、若干のリスクにはなるようです。より重要なことは乳腺症の方は乳腺が硬いことが多く、しこりの存在に気付くのが遅れる危険性があることです。最低でも年一回は触診だけではなく諸検査を受けられるようお勧めします。
乳癌の自覚症状はしこり以外にあるの?
しこりの触知以外に多いのは乳頭(乳首)からの分泌物です。ただ血性であっても乳癌とは限らないし、逆に透明でも癌のケースもあります。
他には乳房の左右差、皮膚のくぼみ、上肢挙上時の皮膚の引きつれ、皮膚発赤、わきの違和感などです。痛み、痒み、熱感などを生じることはかなりまれです。
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