乳癌と妊娠経験との関係は?
乳癌の発生に係わる最も主たる原因物質は女性ホルモンの一種であるエストロゲン(卵胞ホルモン)です。近年、未婚者の増加、晩婚化、少子化すなわち妊娠・出産経験が減少しています。
また、初潮が早まり、閉経が遅くなりつつあります。これら、ライフ・スタイルの欧米化のために卵巣から分泌されるエストロゲンにより長くさらされることが今日の乳癌増加の主因と考えられています。欧米女性は8人に1人が乳癌になると言われています。

ちなみに日本人は30〜40人に1人ですが、確実に増加して年間に3万人強の患者さんが発生しています。
好発年齢は?
二つのピークがあります。まず、50歳前後、すなわち閉経直前です。これこそ卵巣から分泌されるエストロゲンによる発癌です。
次が60代です。左右の腎臓の頭側にある副腎からエストロゲンの前駆物質(男性ホルモンの一種)が作られ、全身の脂肪細胞などに存在するアロマターゼという酵素によって、この前駆物質がエストロゲンに変化します。この副腎由来のエストロゲン刺激による発癌が60代に第二のピークを発生させるのです。
ライフスタイルの欧米化はこの二段階のエストロゲン刺激をより高めることになり、閉経後の患者さんを爆発的に増加させることになります。
発生しやすい部位は?
乳房を上下内外に四分割してみると上外四分の一に最も発生しやすいのです。ここが乳腺の量が最も多いからだと考えます。左右の乳房ではどちらという有意な差はありません。
身内に乳癌にかかった人がいて心配です。
血縁者に乳癌罹患者がおられるのなら要注意です。母親または姉妹に乳癌の方がおられれば2〜4倍、母も姉妹もとなると4倍以上の危険性があります。
しかし、その多くは遺伝ではありません。数種の乳癌遺伝子がわかっていますが、遺伝子異常による発癌は全乳癌の5%ぐらいです。
乳房の大きい女性は乳癌になりやすい?
関係ありません。乳房が大きい、小さいの差は解剖学的には脂肪量の違いです。すなわち乳腺の量は大して変わらないのだから乳腺が癌化する乳癌になるリスクは同じです。乳房が大きいとしこりに気付くのが遅れることが問題になるかも・・・
集団検診を受けていれば大丈夫?
英国などの欧米では乳癌発生率は増加していますが、乳癌死亡率はこの20年間、低下しています。
この要因の一つは、検診へのマンモグラフィーの導入だと考えられます。早期、特に手に触れるようになる前の乳癌が発見され、治療されているからです。日本のように触診だけの検診ではこのような効果は望めません。マンモグラフィーや超音波検査を触診と併用した検診を受けるべきです。ただ、月に一回の自己検診は有益とされていますので行ってください。
検査の費用は?痛い?
当クリニックにおいて三割負担で初診料を加算して、マンモグラフィーは一方向が3480円・二方向が4038円です(使用するフィルム代が施設によって若干ことなります)。超音波検査は3750円です。マンモグラフィーは乳腺をゆっくりと圧迫しますが、若い方ほど痛みを感じられるようです。またマンモグラフィーがその威力を発揮するのは概して40代からですので、より若い方は超音波検査をお勧めします。しかし、若い方も一度は将来の比較となるベースライン・マンモグラフィーを撮影されることを推奨します。将来、撮影する機会が起こった際に以前と比較することは有益です。
また、マンモグラフィーでないと発見できないタイプの乳癌も少なくありませんから。
乳癌手術での入院期間は?
施設によって違いますが、当院であれば手術前後合わせて7〜10日です。もっと短縮することも可能です。
手術を受けると乳房は無くなるの?
基本的にはまず、乳房温存手術(部分切除)が可能かどうかを検討します。部分切除といっても取り残しは禁物!しかし、しこりが大きいなら残せる乳房はわずかでかなり変形してしまう。これでは温存手術の主な目的である審美性が薄れます。また温存した乳腺から再び乳癌ができるかも。
よって患者様としっかり術前に話し合いを行い、術式を決定します。全国統計では温存手術と全乳腺切除術は半々です。
抗癌剤で髪が抜けてしまう?
術後に化学療法の適応があると判断された方にはその必要性、有用性および副作用が説明されます。同意されると投与が始まりますが、多くの薬剤がありますので副作用も様々です。脱毛は大変大きな問題です。精神的苦痛は計り知れないものがあると思います。しかし、投与終了後には必ず生えてきます。脱毛を嫌い、化学療法を受けなかったがために再発してしまえば、取り返しが付かないことになります。

(参考までに)治療中である証明を提示されると高級カツラが安価で購入できます。
乳癌になったらもう子どもは産めないの?
はっきり言って万人が認めるお答えは存在しません。一般的には術後3年は妊娠しないように、とされているようです。すなわち再発が最も認められやすい期間を過ぎてからということでしょうか。ただ乳癌は10年の観察が必要と言われていますので・・・
しこりに気付いたら産婦人科?
乳腺のしこりや乳癌の診療は日本では外科医が行ってきましたので外科と表示のある病院・診療所を受診して下さい。
しかし、外科といっても乳腺を専門にしている外科医は少ないので事前に設備や医師の存在を確認すべきです。
乳腺科とか乳腺外科という広告や看板はなぜか禁止されています。また、昨今、外科医、腫瘍内科医、放射線科医などがチームを作って乳癌診療に当たるようになりつつあることもお知らせしておきます。
生理前の胸の張り感と乳癌は関係ある?
閉経前の女性の乳房の張り感はホルモン刺激による生理的な感覚ですが、強い痛みを訴えられる方には乳腺症の診断のもとに治療薬を処方します。
ただ乳腺症は前癌病変ではありませんが、若干のリスクにはなるようです。より重要なことは乳腺症の方は乳腺が硬いことが多く、しこりの存在に気付くのが遅れる危険性があることです。最低でも年一回は触診だけではなく諸検査を受けられるようお勧めします。
乳癌の自覚症状はしこり以外にあるの?
しこりの触知以外に多いのは乳頭(乳首)からの分泌物です。ただ血性であっても乳癌とは限らないし、逆に透明でも癌のケースもあります。
他には乳房の左右差、皮膚のくぼみ、上肢挙上時の皮膚の引きつれ、皮膚発赤、わきの違和感などです。痛み、痒み、熱感などを生じることはかなりまれです。
▲このページのTOPへ

医療法人 和康会 むらたクリニック 〒866-0874 熊本県八代市横手本町2-1 TEL 0965-34-1872
Copyright 2003 MURATA CLINIC All right reserved.